開発プロセス
食品の商品開発は企業の成長、生き残りのために欠かすことのできない生命線です。
成功する商品開発には、計画的なプロセスと多様な要素の統合が必要です。ここでは、商品アイデアの起案からリリースまでの一連の手順を、実践的な視点で解説します。
各会社の規模や役割は読む方それぞれ異なるとは思いますのでそれぞれ置き換えたりしながらお読みください。
1. 商品アイデアの発案
開発の最初のステップは、商品アイデアの発案です。新しいアイデアを生み出すためには、消費者のニーズや市場トレンドの理解が不可欠です。
- 市場調査: 既存の商品やトレンドを調査し、どのような商品が求められているかを分析します。消費者のレビューやSNSでの意見なども参考になります。
- ターゲット層の選定: 消費者層を明確にし、そのニーズに合致した商品を考案します。例えば、健康志向の消費者には栄養価の高い商品が求められます。
- ブレインストーミング: 開発チームで自由にアイデアを出し合い、革新的な発想を引き出すブレインストーミングを行います。
- 競合の類似製品の調査:あなたが思いついた商品はすでに、安くおいしい状態で販売されているかもしれません。時間を無駄にしないためにもこれは欠かせない作業ですね。
これらは必ず「開発企画書」等書面を残しておきましょう。
2. コンセプトの確立
次に、商品アイデアを具体的なコンセプトに落とし込みます。ここでの目標は、商品の特徴や価値を明確にすることです。コンセプトを構築する際のポイントは以下の通りです:
- USP(Unique Selling Proposition、ユニークセリングプロポジション): 商品の強みや独自性を明確にします。競合他社の商品と差別化できる要素があるかどうかが重要です。
- 製品のターゲット設定: 商品がどの層に向けて作られるかをさらに具体化します。健康食品なら、栄養価やカロリーを強調するなど、ターゲット層に響く内容を設定します。
- 価格設定の検討: 商品の価値に応じた価格帯を設定し、市場での競争力を確認します。
この時には売る人の気持ちになって考えていきたいですね、意識したいのは
30文字程度の短い言葉で、商品の特徴をつたえられるようなわかりやすい商品コンセプトにしたいですね
3. プロトタイプの開発
コンセプトが確立したら、次はプロトタイプ(試作品)の開発です。この段階では、実際に商品を試作し、消費者に受け入れられる品質と味を追求します。
- 試作と改良: 複数回試作を重ねて、味や食感、見た目、を最適化します。味が一定しておいしく、かつ見た目も魅力的な商品に仕上げるために、検討をしていきましょう。
- 消費者テスト: 実際のターゲット層に試作品を試してもらい、フィードバックを収集します。このフィードバックを基に、改良を加えます。
- 保存試験:それぞれの商品温度帯に合わせた保存試験、場合によっては温度条件を変更して保存条件を加速しながら試作品の調整を行ってください。
- 量産レシピの確定:試作品をベースに現場で作りやすい、計量しやすいレシピを確定させていきます
- スケールアップ、パイロットテスト:味、保存試験の結果を踏まえスケールアップ実際のラインでの試作をおこなっていきます。
試作品は30~100パターン程度を作ってから、スケールアップテストというのは覚悟しましょう
4. パッケージデザインとブランディング
商品のパッケージは、消費者に対する第一印象を左右します。そのため、見た目が魅力的であり、かつ実用的であることが重要です。ブランディングの一環として、パッケージデザインや商品名の決定も進めます。
- パッケージデザイン: 消費者にとって目を引きやすいデザインを考えつつ、保存や輸送に耐えられる実用性も検討します。
- ラベリング: 法的に必要な表示(原材料、アレルゲン、栄養価など)をラベルに反映させます。これにより、消費者は安心して商品を購入できます。
- ネーミング決定:実は一番決まらないのが、ネーミング、商品の名称です。開発者目線のこだわりなども盛り込めるようにしていきましょう。
5. 生産計画とスケジュール管理
次に、商品の生産計画を立て、実際に市場に出すための準備を進めます。ここでは、製造から物流までのプロセスをスムーズに行うための計画が必要です。
- 製造ラインの設計: 生産効率を最大化するために、製造ラインの設計や機械の選定を行います。特に大量生産を行う場合には、生産性と品質のバランスを考慮します。
- コスト計算: 原材料費や人件費、設備コストなどを考慮し、コストの管理を徹底します。これにより、利益率を確保しながら市場価格で競争力を持つことができます。
- スケジュール管理: 製造から出荷までのスケジュールを管理し、遅延なく商品を市場に投入できるように調整します。
商品開発最大の難関は「スケールアップ、大量生産ラインへの落とし込み」です!
6. 品質管理と法的チェック
生産段階では、品質管理と法的要件の確認が重要です。食品の場合、衛生管理や品質管理基準を満たすことが求められます。
- 品質管理の徹底: 製品が安定した品質を維持できるよう、製造過程での品質チェックを行います。HACCPなどの衛生管理システム、危害分析を導入することで、リスクのある部分を重点的に管理していきます。
- 食品表示確認: 食品表示法や各国の規制に準拠するために、法的なチェックを行います。ラベル表示やパッケージに関する法的要件が満たされているかを確認します。
- 営業許可の解釈の確認:惣菜、菓子、冷凍食品、魚介加工、乳製品加工など様々な営業許可がありますが、新商品は念のため、保健所に確認をしておきましょう。解釈や保健所の職員の見解で求められる営業許可が変わってくる可能性があります。
- 使用添加物の適合確認:食品添加物には使用基準と、使用料が法律で定められています。使用している添加物の許容量なども確認しておきましょう。
7. マーケティングと販促活動
商品が完成したら、次はマーケティングと販促活動です。ここでの目標は、商品を効果的に市場に紹介し、消費者に購入してもらうことです。
- マーケティング戦略の策定: オンライン広告やSNS、オフラインでのキャンペーンなど、複数のチャネルを使って消費者にアプローチします。
- 広告宣伝費の予算策定:商品を販売するうえで欠かせない、広告宣伝費、企業によって変わるとは思いますが、広告宣伝費を商品原価に含めるのか販売価格は変わってきます。
- 販促活動: 試供品の配布や特典付きキャンペーンを行い、消費者に実際に商品を試してもらいます。これにより、口コミや評判を広めることができます。
8. 商品リリースとフィードバック収集
すべての準備が整ったら、いよいよ商品リリースです。商品が市場に出た後も、消費者からのフィードバックを収集し、さらなる改善を行うことが重要です。
- 消費者の反応確認: 商品がどのように受け入れられているかをSNSやレビューサイトで確認し、初期の反応を分析します。
- 改良点の検討: フィードバックに基づき、必要に応じて商品の改良を行います。特に長期的に売れる商品にするためには、消費者の意見を反映させ続けることが大切です。
以上が、商品開発のプロセスの流れです。成功する商品を生み出すためには、各ステップでの計画的なアプローチが求められます。このプロセスをしっかりと理解し、実践することで、消費者に支持される商品を開発することができるでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ここまでだらだらと書いてしまいましたが、これらは私の業務フローを羅列しなおしたものです。
実際に使えるフローだと思いますが、会社の規模や組織図によっても変わると思いますので、置き換えながらお読みください、あなたの商品開発にお役立ちいただければ何よりです。
商品開発のおすすめ本を紹介します。